2025年風営法改正

のぞみ合同事務所/のぞみ総研は全国のホール企業の法務を風営法からハラスメント対策まで総合的に支援しています!

2025年3月7日に、政府は悪質ホストクラブ対策などを盛り込んだ風俗営業法改正案を閣議決定し、5月20日に可決成立しました。

よって、このページではホール経営企業の目線で重要ポイントを解説しますが、風俗営業に第1号(社交飲食店・料理店)等の事業者の方にとっては不向きな内容です。

なお、現時点で関係情報に未公開の部分があるため、ここで掲載されている情報を後日修正する可能性があります。

この情報はあくまで暫定情報に過ぎません。今後も必要に応じて修正してゆきます。

https://thefirm.jp/%e6%9d%b1%e4%ba%ac%e9%83%bd%e3%82%ab%e3%82%b9%e3%83%8f%e3%83%a9%e9%98%b2%e6%ad%a2%e5%af%be%e7%ad%96%e4%bc%81%e6%a5%ad%e5%a5%a8%e5%8a%b1%e9%87%91/

関連情報リンク

 

2025年風営法改正案の主な内容

(1)接待飲食営業に係る遵守事項等の追加

(2)いわゆるスカウトバックに係る禁止規定の整備

(3)無許可営業等に対する罰則の強化

(4)風俗営業の許可に係る不許可事由の追加

以上のなかでホール経営に関連するのは(3)と(4)です。以下で関連部分を解説します。

「3」 無許可営業等に対する罰則の強化

風俗営業の許可を受けないで風俗営業を営んだ者等に対する罰則を強化するとともに、法人の代表者又は従業者がこれらの違反行為をしたときの当該法人に対する罰金の上限額を引き上げることになりました。(第四十九条及び第五十七条関係)

要点:個人に対する罰則が、改正前は2年以下の懲役または200万円以下の罰金であったところ、5年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金になりました。

五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金を科される可能性がある場合

① パチンコ店営業許可をA社の名義で保有しているが、その実態はB社名義の会計処理で管理運営しており、店長やスタッフもB社に所属している。
⇒ A社は風営法11条(名義貸し:A量定)違反、B社は無許可風俗営業の罪(A量定)で、両社およびその役員等が処罰対象


② A社が経営する店舗が営業停止処分を受けたが、停止期間中に営業を再開してしまった。
⇒ 風営法第26条の公安委員会の処分に違反した罪(A量定)で、A社とその役員等が処罰対象

両罰規定で法人は罰金3億円も!

法人の代表者又は代理人、使用人その他の従業者が、法第49条の規定の違反行為をしたときの当該法人に対する罰金の上限額を200万円から3億円に引き上げることとしました。

 

風営法

第五十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げ規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する
 一 第四十九条 三億円以下の罰金刑
 二 第五十条、第五十一条第一項又は第五十三条から前条まで各本条の罰金刑
2 前項の規定により第四十九条の違反行為につき法人又は人に金刑を科する場合における時効の期間は、同条の罪についての時効の期間による。

※49条違反⇒

  1. 風俗営業の無許可営業
  2. 風俗営業の許可等の不正取得
  3. 風俗営業の名義貸し
  4. 営業停止命令等違反

など

「4」 風俗営業の許可に係る不許可事由の追加

都道府県公安委員会が風俗営業の許可をしてはならない者として、次に掲げる者を追加することとしました。

(第四条関係)
一 親会社等が風俗営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者である法人
二 警察職員による立入りが行われた日から風俗営業の許可取消処分に係る聴聞決定予定日までの間に許可証の返納をした者で当該返納の日から起算して五年を経過しないもの
三 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等を行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者がその事業活動に支配的な影響力を有する者




※国家公安委員会規則改定後に情報追加予定

 

A量定(許可取消相当)の違反は致命的

◎悪質なホストクラブ業者のなかには、摘発された場合に違反店舗の営業許可証を返納することで行政処分を回避した者があった。

◎自社が行政処分を受けて欠格事由に該当しても、子会社に許可を取らせて営業を再開することができた。

※こういった手法での行政処分回避と営業再開を阻止することが今回の法改正の目的である

 ⇒ 万が一のとき、どうする?(方法は無くはない・・・?)

 

改正風営法の段階的施行

◎6月1日施行部分

懲役と禁錮を一本化して「拘禁刑」を創設する改正刑法が6月1日に施行され、これにあわせた改正風営法が6月1日付で施行されました。改正部分は単純に、「懲役」「禁固」の箇所を「拘禁刑」に文言を変更しただけです。つまり、風営法の実態としてはたいした変化ではありません。

◎6月28日施行部分

「接待飲食営業を営む者の禁止行為」が追加されますが、これはホール業界への影響はありません。むしろホール営業に影響があるのは、無許可営業や名義貸しなどの重大な違反行為の刑事罰が、拘禁刑で2年以下から5年以下に、罰金刑が200万円以下から1000万円以下になります。無許可営業なんてありえないと思われるでしょうが、営業の主要部分を別会社に委託している。または実際は別の会社がほぼ運営している。という場合は無許可営業と名義貸しのセットで犯罪となりますから、無関係とも言い切れません。そのほかは、ごく小さな変更や語句の修正ですので、皆さんが気にしなくてもよいでしょう。

◎11月28日施行部分

4条1項の第7号以下が次に改正されます。

七 当該許可を受けようとする者(法人に限る。イ及びハにおいて同じ。)と密接な関係を有する次に掲げる法人が第二十六条第一項の規定により風俗営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者である者
イ 当該許可を受けようとする者の株式の所有その他の事由を通じて当該許可を受けようとする者の事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にある者として国家公安委員会規則で定めるもの(ロにおいて「親会社等」という。)
ロ 親会社等が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にある者として国家公安委員会規則で定めるもの
ハ 当該許可を受けようとする者が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にある者として国家公安委員会規則で定めるもの
八 次のいずれかに掲げる期間内に第十条第一項第一号の規定による許可証の返納をした者(風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で当該返納の日から起算して五年を経過しないもの

イ 第二十六条第一項の規定による風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間
ロ 第三十七条第二項の規定による風俗営業の営業所への立入りが行われた日から聴聞決定予定日(当該立入りの結果に基づき第二十六条第一項の規定による風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞を行うか否かの決定をすることが見込まれる日として国家公安委員会規則で定めるところにより公安委員会が当該立入りを受けた者に当該立入りが行われた日から十日以内に特定の日を通知した場合における当該特定の日をいう。)までの間
九 前号イに掲げる期間内に合併により消滅した法人若しくは第十条第一項第一号の規定による許可証の返納をした法人(合併又は風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)の前号イの公示の日前六十日以内に役員であつた者又は同号ロに掲げる期間内に合併により消滅した法人若しくは同項第一号の規定による許可証の返納をした法人(合併又は風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)の前号ロの立入りが行われた日前六十日以内に役員であつた者で、当該消滅又は返納の日から起算して五年を経過しないもの

十 第八号イに掲げる期間内に分割により同号イの聴聞に係る風俗営業を承継させ、若しくは分割により当該風俗営業以外の風俗営業を承継した法人(分割について相当な理由がある者を除く。)若しくはこれらの法人の同号イの公示の日前六十日以内に役員であつた者又は同号ロに掲げる期間内に分割により同号ロの立入りに係る風俗営業を承継させ、若しくは分割により当該風俗営業以外の風俗営業を承継した法人(分割について相当な理由がある者を除く。)若しくはこれらの法人の当該立入りが行われた日前六十日以内に役員であつた者で、当該分割の日から起算して五年を経過しないもの
九 第七号に規定する期間内に分割により同号の聴聞に係る風俗営業を承継させ、若しくは分割により当該風俗営業以外の風俗営業を承継した法人(分割について相当な理由がある者を除く。)又はこれらの法人の同号の公示の日前六十日以内に役員であつた者で当該分割の日から起算して五年を経過しないもの
十一 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が風俗営業者の相続人であつて、その法定代理人が前各号(第七号を除く。)、次号及び第十三号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。

十二 法人でその役員のうちに第一号から第六号まで又は第八号から第十号までのいずれかに該当する者があるもの

十三 第三号に該当する者が出資、融資、取引その他の関係を通じてその事業活動に支配的な影響力を有する者

 

※国家公安委員会規則未公開

 

令和7年11月28日問題:不許可事由の追加に向けた許可事務の運用

改正法のうち、風俗営業の許可に係る不許可事由の追加に係る改正規定については、令和7年11月28日から施行される。

同規定の運用上の留意事項等については改めて示すが、令和7年11月28日より前になされた風俗営業の許可申請であって、令和7年11月28日までに許可するかどうかの処分がなされていないもの(以下「未処分の申請」という。)に関する経過措置を改正法において設けていないことから、未処分の申請については令和7年11月28日の法の規定による申請とみなすこととなることに留意すること。
そのため、令和7年11月28日の前に風俗営業の許可申請がなされた場合には、当該申請がなされた時点で、各都道府県警察において定められた具体的な処理期間を踏まえ、


○ 令和7年11月28日までの間に当該申請に対する処分をすることが見込まれない場合(当該申請が未処分の申請となることが見込まれる場合)は、当該申請に係る申請者は令和7年11月28日の後の法第4条第1項各号の不許可事由に該当しないことが必要になることを丁寧に説明し、トラブルの防止に努めることとし、

○ 令和7年11月28日までの間に当該申請に対する処分をすることが見込まれる場合(当該申請が未処分の申請となることが見込まれない場合)は、旧法第4条第1項各号の不許可事由に基づき許可するかしないかを決定することとなるが、当該申請者が令和7年11月28日後の法第4条第1項各号のいずれかに該当する場合は、令和7年11月28日の経過後に法第8条の規定による風俗営業の許可取消処分がなされる可能性があることを説明し、施行後のトラブル防止に努めること。

 

風営法専門行政書士の私見

2025年中の風俗営業許可申請は、令和7年11月28日に風俗営業が許可(処分)される件については新法の許可要件で審査するので、旧法では許可要件を満たしていたとしても、許可処分の時期が11月28日の経過後になる場合は、新法によって不許可処分となるということ。

警察庁が定める<風俗営業許可申請手続きの標準処理期間>は55日であるが、土日祭日を除くので、施行日の70日以上前からの申請でも新法が適用される可能性がある。

◎疑問

  • 法人役員の誓約書の書式はどうなるか?
  • 旧法施行後の法人申請の場合の親会社等の証明書類の添付は必要か?
  • 新法適用後に欠格要件に該当する法人はどうなるのか?

警察庁通達によると、同規定の運用上の留意事項等については改めて示すこととしているので、追加情報を待ちます。

摘発リスクを軽減する方法

A: (略)

B : (略)

C: 内部告発対策としての社内の信頼関係の構築

  • 社員に対する不利益処分はなるべく避ける
  • 幹部のコミュニケーション能力を強化する
  • ハラスメント相談体制の強化により不満やストレスを緩和する

 

※社内の相談体制の整備は違反リスク対策として極めて有効ですが、相談の実施には様々な困難が伴います。

これを一挙に解決するAI相談システムを強くお勧めします。

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