法律依存症が会社をダメにする!心に問いかけるコンプライアンス(2)あなたの会社の社長はどのタイプ?
職場での著作権侵害を放置しながら社員に著作権法の研修をしようとした社長。
ここで話が一度中断するのですが、このあとの展開は社長さんのタイプによって、ざっくりと3種類に分かれます。
A社長:だったらこの際、法律違反を全て是正して完璧なコンプライアンスをやるぞ!
B社長:やっぱり面倒くさいからやめる。
C社長:そうなの?じゃ、どうしたらいい?
<会社はトップ次第>ですから、その会社のコンプライアンスの方向性がこれで決まってゆきます。
でも、それぞれの社長さんご本人は「自分の感覚が常識」と思っているのだと思います。
つい最近、A社長タイプの社長さんから言われまして。
「コンプライアンスを全部あなたに外注したい」
私:無理ですよ。コンプライアンスは丸投げなんてできません。
「え・・・・?なんで?」
私:
コンプライアンスは<生き方>です。社長が明確な方針を決めてくれたらできなくもないです。それでも全責任は社長にあるし、コンプライアンスの方針を決めるまでには私とたくさんの問答をすることになるし、問題が起ればその都度たくさんの問答をすることになりますよ。
「はあ?(アンタなに言ってんの?という顔で)私はそういう面倒なことから解放されたいから丸投げしたいんだよ。」
どうやらその社長さんは、<ルールを完璧に守る経営>というものがこの世に実在しており、専門家に任せればそれが実現するとお考えのようです。
それを専門家に丸投げしたいのですね。まあ、一部の大手企業や競争のない特殊な団体さんならありえなくもないのでしょうか。
しかし、少なくとも<競争>をしている中小企業では無理であり、無駄なことでもあります。
おそらくA社長さんが<完璧なコンプライアンス>を実行しようとしたとしても、その社長さんが法令遵守に励んでいる社員たちの様子をつぶさにみたとき、
「なんでそんな無駄なことばかりやっているんだ。いい加減にしろ。」
などと言いだすことになるかと思います。
社員の活動状況を見ていなくても、社長さんがいつも気にしている<数字>が停滞または徐々に悪化していることに気がついたときには、
「営業成績悪いぞ、なんとかしろ。」
などと担当者に言ったりします。
ところが別の場面では社員たちに対し、
「問題を起こさないように法令遵守を完璧にやれよ。」
とも言う。
こうして社員たちは成果主義と法令遵守の板挟みになって混乱し、それを社長に説明しても無駄だと感じるようになります。
そのあと、社員はどうなるでしょう。
保身に走り、心が疲れて退職者が増え、忍耐強い従業員は「ごまかし」を始め、無駄な仕事がさらに増加します。
やがて、ミスが起きれば「責任のなすりつけ合い」が始まり、それが上手な社員が生き残って出世するでしょう。
こういったことが今、日本中の組織で起きていませんか。
これを私は「法律依存症」と呼んでいます。
法令がむやみに複雑になってしまった現代において、法令を完璧に守ろうとすると、おおよそこういう結果になりがちです。
では、法令遵守の「完璧主義」に問題があるのだとして、B社長のように「面倒くさいからやめる。」で大丈夫でしょうか。
せっかくコンプライアンスに思いを馳せ、研修をしようとまで考えたのですけれどね。


