風俗営業等の風営法手続きの電子化と電子申請(オンライン申請)の2025年12月15日開始/実務上の課題や注意点

 

風営法手続きがe-GOV電子申請で可能に!?

2025年12月15日から電子申請がe-GOVという国のシステムによって可能となります。

 

e-GOV電子申請 https://shinsei.e-gov.go.jp/

 

すでに様々な行政手続きがe-GOVで申請可能になっているみたい?

ですが、風営法を含む警察関連の行政手続きの一部が12月15日から電子申請で可能になりました。

とは言っても、結果としては現状のところ、すぐに全面的な運用が行われるような状況ではありません。

以下でもう少し詳しく私の理解している範囲で説明します。

 

☆警察行政手続きサイト

https://proc.npa.go.jp/portaltop/SP0100.html

 

電子申請開始に関する広報が都道府県警のホームページでも散見されています。

例えば大阪府警さんの場合ですと。

 

☆警察の行政手続のオンライン化について(令和7年12月15日から開始)
https://www.police.pref.osaka.lg.jp/tetsuduki/online/index.html

 

というわけで、風営法の各種手続きも電子申請が可能になった!

というふうにも「見える」のですが、実際はそう単純なことではありません。

当事務所ではすでに数件の申請を行いましたが、結論から申しますと、今のところ、あまり使い道がないと思っています。


風営事業者の皆様は、今まで通りの取り扱いを継続していても問題ないです。

しかし、今回の「電子化の話」はこれまでのものとはちょっと違うので、関係事業者の皆様にもある程度は知っておいていただきたく、引き続き関係情報があれば随時こちらに掲載します。

 

現状で思うところを以下で述べます。

行政手続きを電子申請で行うメリットは?

電子申請のメリットは?と考えると、<申請窓口に行かないでいい>が最大のメリットでしょう。

風営法の諸手続きでは、営業所を管轄する警察署に申請や届け出を行います。 

警察署での申請や届け出って、行政書士の目線で申しますと、けっこうややこしいです。

というのも、窓口に担当者が不在のため受理してもらえなかったり、先着の人が時間がかかって長時間廊下で待たされたり、といったことがよくあります。 

だから、私などはあらかじめ担当窓口に電話をして混雑状況を聞いたり、予約をしたりしますし、そういった申請上のルールについて地域ごとに若干の違いがあります。 

また、手続きにはこちら側の都合により「急ぎ」の案件もあります。たとえば、私の場合ですと構造設備変更承認申請をよく扱うのですが、工事着工までに受理されなければならず、ちょっと遠隔地の警察署だとタイミングが間に合うかどうかでドキドキすることがあります。 

さらには、警察署は月曜日が忙しいことが多く、「月曜日がタイムリミットなのになあ」という案件の場合にいつ申請しようか悩んでしまいます。

電子申請であれば夜でも休日でも申請できるから、そういう点ではありがたいです。

しかし、実際のところは、そう単純なことではないようです。 

電子化されても手数料の納付は今まで通り

ネットに出てくる情報では見当たりませんが、手続きに際して行政庁に支払う手数料についてはこれまでどおりの扱いのようです。

e-GOVでどうにか決済できるとよいのですが今のところよくわかりません。

警察署でも最近ではクレジットカードやPAYPAYでの手数料決済が増えましたが、それについては電子化後もこれまでと同様に窓口決済だそうなので、手数料の納付が必要な場合、当面は「結局窓口にいかないといけないじゃん」ということになります。

だったら、電子申請をしないで、これまでどおり窓口で手続きを行う方が話が早いです。

行政書士がよく扱う風営法の手続のほとんどで手数料の支払いが発生します。

  • 風俗営業許可申請
  • 構造設備変更承認申請
  • 性風俗関連特殊営業の営業開始届出

いずれも手数料の納付をしてからの受理となるので、電子申請しても、かえって話がややこしくなるだけ。

のような気がしています。

 

電子化されても原本提出が必要

住民票、登記事項証明書のような公的証明書は原本を提出することになるそうです。

また、管理者の証明写真なども原本提出が必要でしょう。

許可証書き換え申請における許可証の原本も、店名変更における管理者証の書き換えも、原本提出が必要となります。

そうなると、どうせ窓口に行くことになるので、電子申請の意味はあまりないと思うのです。

さらには、システム上は使用承諾書や誓約書等の押印署名文書の電子添付が可能な設定になっていますが、これらの書面は原本提出が望ましいという行政判断になるのではないかと考えております。つまり、電子添付しても原本提出が求められる扱いになるのではないかと思いますので、その前提で対応されるのがよいかと思います。

風営法の手続では、申請書や届出書を出すだけで済むような手続は少ないです。

では、どんな場合に電子申請のメリットがあるのでしょうか。

 

電子申請のメリットのありそうな風営法の手続はあるのか?

手数料を納付する必要がなく、原本提出すべき書面もない手続なら、電子申請するメリットがあるかなと思います。

では、それはどのような場合でしょうか。

思いつくところを以下に記載しますが、この記事は今後、適宜改変してゆきますので、皆さんが閲覧するたびに内容が変化していくことをご理解ください。

この記事の内容は風営法を専門に扱っている行政書士の個人的感想に過ぎませんので、この情報によって誰かが迷惑をこうむったとしても責任は負えないので、あくまで参考情報として閲覧してください。

 

以下は私の心の中を表現したものでして、実際にどうなるかは未知であるとお考えください。

 

各種営業の構造設備変更に関する変更届出

変更承認申請では手数料がかかりますが、変更届では手数料が不要です。構造変更の変更届出は公的証明書を添付するケースが少ないので、「電子手続きで届け出」する意味のあるケースはありえます。

特例風俗営業者の場合は変更承認申請の代わりに変更届出を行えばよいので、かなり使い道がありそうです。

弊社ではすでに行っています。

第4号ぱちんこ屋営業の遊技機の部品に関する変更届出

呼び出しランプその他の部品の変更届出では、手数料がかからず公的証明書類も使わないので、インターネットでの届け出のメリットがあるかもしれません。

弊社ではすでに行っています。

役員に関する変更届出

役員の就任の場合は住民票や登記事項証明が必要になるので電子手続きで行うメリットがありませんが、退任の場合なら可能ではないか? しかし、退任の事実を証明する登記事項証明書が必要であるという解釈ならば、登記事項証明書の原本を提出することになるので電子届け出の意味はないと思われます。 

ただし、役員変更の届け出には期日があり、複数の都道府県での提出が間に合わず、仕方なく休日に届出しておいて、あとで公的証明書類の原本を窓口で提出するという方法が思いつきますが、おそらくは<必要な添付書類が全て提出された時点で正式な受理となる>という解釈となるでしょう。 

そのほかの手続き

そのほかにもたぶんなにかありそうですが今のところ、なかなか思いつきません。

 

悪天候・災害時・感染症対策としては有用

  • 台風や大雪で警察署に行くのが危険なとき。
  • 土砂崩れで道路が寸断されて警察署にいけないとき。
  • コロナウィルスなどの感染症が流行しているとき。
  • 手続の担当者が急な体調不良で警察署に行けなくなったとき。

こういったときは電子申請で申請が可能なら有意義ではありますが、手数料の納付と原本提出が正式な受理の必須要件だとしたら意味がありません。

このあたりの運用方法についてはまだ不透明な部分が多いので、今後わかり次第、この記事で掲載してゆこうと思います。

 

事業者にとってのメリットは?

総論として、事業者の皆様にとっては電子申請のメリットは今のところ「あまりない」と思います。

都道府県警さんもそのように見ているのだと推測しますので、積極的かつ詳細なアナウンスはしていないと思います。
ですので、この電子化の話は、まあ、そうあわてることではないです。

でも、いざというときにインターネット申請ができるようにしておくことはお勧めします。

社交飲食店の場合

まず、社交飲食店事業者の皆様の場合、ほとんどの手続で手数料の納付と証明書類の提出が伴いますし、電子でやりとりしても記載情報の表現や誤記などが発生すると、かえって面倒なことになろうかと思います。 

パチンコ店の場合

日ごろから入替の申請で警察署に出向いていますから、あまり意味がないですよね。

遊技機の変更承認申請で添付する保証書等は打刻されているものが求められているので現状では原本提出が必要となるでしょう。

しかし、私のように全国の構造変更手続きをサポートしている者にとっては、緊急で変更承認申請をねじ込みたいときには助かるのかもしれません。その代わりホールさんの方で早急に手数料の納付をしていただきますけれど。

大手ホールさんの場合ですと、ある局面においては電子の変更届出が助かる場面もあるかも、という予感がしておりますが、そこは今後の研究課題にします。

なお、型式検定の申請が電子申請で可能になったらいいなあと思いますが、これはメーカーさんの問題ですね。

麻雀店・ゲームセンターの場合

あまり警察署に出向かない業種なので、レイアウト変更や麻雀卓設置の届出であればメリットがあるかもしれません。

たとえば、多店舗展開しているゲームセンターの本社担当者にとっては、設置遊技機に関する変更届出をオンラインで行えたら助かるかもしれません。 

電子申請の方法は

弊事務所ではe-GAV申請で実際に電子手続きを行い正式に受理されました。

内容はパチンコ店の構造設備に関する軽微な変更届出でした。

私の場合はGビズで認証を受けて登録していたので、Gビスアカウントを使用しました。

Gビズアカウントの取得にはけっこう時間がかかったと思います。

そしてe-GAV電子申請のサイトにログインしてから端末の環境を整え、e-GAVアプリをダウンロードし、必要な手続きを選んで入力して、添付ファイルデータとともに送信します。

入力欄では若干のクセがありまして、申請(届出)人欄と事業者情報を別々に入力する立て付けになっています。

申請人欄と事業者情報をリンクして片方を自動反映すればよいのに、そのようになっていません。

入力情報についての要求も、細かい割には説明が少なくて困ります。

送信すると受信したことを示すメッセージが送られ、その後、問題なければ正式な受理のメッセージがきます。

ただし、以上は神奈川県で行った場合の話であって、他の都道府県では異なる部分があるかもしれません。

神奈川での電子申請の方法はおおよそカタチができたと思いますが、他の都道府県では私のように実験する人がいないとなると、最初はかなり混乱されるかもしれません。

多くの方は最初のアカウント登録と認証の段階でつまづくのではないでしょうか。

これではIT系の勘どころがない人にはキツイです。

電子申請の方法について、気がついたことがあれば今後こちらで掲載しようと思います。 

インターネット手続きにおける注意点や配慮など

雑感

e-Gov電子申請は他の電子システムとの連携が比較的に少ないので思いのほか単純な仕組みだと思いました。
このシステムでは、窓口に行かないで申請書等のデータを送信できるという点でのメリットしかありません。

行政庁にしてみると、受信したデータを印刷して審査するだけのことで、行政側のメリットはあまり無いと思います。

もし行政側に利点があるとすると、手続きの担当窓口が常駐しないでよいので、その面では担当者が焦らないで済む、という点でしょうか。

おそらくは都道府県本部で受信処理をしていると思いますが、そちらの方の負担は大きくなるのかもしれません。

配慮してほしいこと

まだ件数が少ないので受信側の担当者の方が申請案件に気がついていない可能性があるのではないかと勝手に想像しておりまして、私の場合は事前又は事後に警察本部さんに報告なりをしていましたが、当面はそのような配慮をした方がよいかもと思います。でも神奈川県では前後の連絡は不要とのことです。

データ添付で済ませない方がよい書面がある?

電子システム上は使用承諾書が添付可能になっていますが、行政書士目線で考えるとこれは原本提出が好ましい書面です。

これが電子データで処理されて済んでしまう運用が広がると、あとで恐らくよろしくないことになりそうだからです。

例えば、「認印さえ押しておけばいいんだよ」みたいな発想で処理する慣習が広まって、実態を重視する行政書士がお客さんから馬鹿にされる現象が過去にシバシバありました。

実態面がおろそかにならないよう、新米行政書士さんの存在も踏まえ、使用承諾書や誓約書などの私文書の取り扱いは慎重であってほしいと思います。

神奈川県の場合(行政書士目線の話です)

  • インターネットで手続きしたあとに受領書が交付されますが、「システムでの電子交付」と「所轄署での紙渡しの交付」を選択できます。所轄署での受け取りの方が所轄署のご担当の方にとっては慣れているので無難だと思いますから、どちらでもよい場合は、その点でなるべくご配慮ください。
  • 使用承諾書や誓約書等の署名押印書面は原本を窓口で提出するようお願いします。
  • 行政書士が代理で申請する場合は、手数料決済や原本提出が不要な手続きにおいてのみ、委任状と行政書士証票をデータ添付して実行可能です。それ以外の手続では行政書士あての委任状も所轄署に原本を提出してください。申請人欄の申請人名称において「株式会社A商事(代理人申請人行政書士〇〇)」のように入力すればよいようです。さらに備考欄に行政書士の連絡先を記入してください。

行政書士は代理で申請できるのか?

神奈川県では行政書士として代理申請できましたが、他の都道府県の動向が不明です。

私の場合は法人事業者の代理人として申請しましたが、許可法人の認証データを使わないで完了しました。

つまり、行政書士が代理申請する場合は、事業者が電子的認証や登録を受けていなくても電子申請が可能でした。

このあたりの運用については若干の疑義があるため、行政庁と適宜詰めてゆくべきポイントが残っています。

以下は私の個人的見解であって、行政書士会や行政サイドの見解ではありませんが、もし行政書士さんが風営法の手続で代理人として電子申請を行う場合には、暫定的な方法として私が行った次の方法をお知らせします。

「申請(届出)人の名称」の欄の入力例として、「株式会社日本商事(申請代理人 行政書士 日野孝次朗)」

のように入力(続く「申請人の住所」「申請人の電話番号」には事業者の情報を入力)し、あわせて最後の方にある「備考」欄に行政書士としての名称・所在地・電話番号を入力して行政庁が行政書士に連絡できるようにし、さらに、行政書士登録者であることを証明するために委任状と行政書士証票のデジタルデータを「追加」して添付する。

以上については神奈川県では当面この運用方針であることを確認しております。

ただし、行政書士あての委任状が押印書類であるにも関わらずデータ添付で完了する点は行政書士に配慮した判断であり、本来であれば原本提出が必要である点をご理解ください。他の都道府県では行政書士の代理手続をインターネットだけで完結できない可能性は充分ありえます。

また、郵送提出については事務上のリスクや混乱が懸念されるので、当面は原則として差し控えていただきたいです。

☆質問はお手柔らかに

電子申請を行う際に、システムの入力方法について警察さんに相談するのは現時点ではかなり無理があると思います。

電子システムは国が構築しており、現状では都道府県警では電子申請処理の細かい点について説明できる状況ではないと思うからです。

しかし、それぞれの行政書士会の担当部局で以上のような点ついて行政庁とのすり合わせをしておかれることをおすすめします。

もし私でよければ情報交換いたしますので、お気軽にご連絡ください。

行政庁の方々にとっては、国から降りてくる情報を実務で適用する際に大変なご苦労をされていると思います。

行政書士会の会員の方々には、行政の現場の皆様への配慮を常に念頭に置いて業務を進めていただきたいです。

☆なお、行政書士登録をしていない人が業として行政手続きを代理代行することは法令違反となりますのでご注意ください。

行政書士法第19条第1項及び第23条の3の改正の趣旨等について(日行連会長)

https://www.gyosei.or.jp/news/20251101

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